Distance‐マイナス5cm‐


それから何度も付き合っては別れてを繰り返し、結夢は次第に、誰にもスキを見せなくなっていった。

笑う事も少なくなり、ただいつも無気力で、毒を吐くようになった。


あたしが仲良くなったのはその頃。

席が近くなって、間近で見ると噂以上に美人で。

思わず見惚れた。


そんなあたしを結夢は一瞥して、

「何?見ないでくれる?」

って、睨みながら言った。


それがあたし達の出会い。


印象は最悪だった。




ある日、結夢の告白現場を目撃した。

もちろん結夢は告られている方。

のぞき見なんて悪いなぁと思いながら、あたしは立ち聞きをしていた。

その時、結夢の言った言葉に驚いた。


「あんたあたしの何を見て告ってきてんの?言っとくけど、あたしはあんたの下らない理想に付き合うつもりないから。どきメモでもやってれば?」

そして鼻で笑う。



あたしは思わず爆笑した。

そうしたら、立ち聞きしてる事がもちろんバレた。

でも笑いを抑える事ができなくて。


「結夢チャン大好き!」

って言っていた。
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