Distance‐マイナス5cm‐
結夢は、怖いんだろうなぁと思った。
周りの、理想の結夢像だけが先行して、本物の結夢を見てる人なんていなかったから。
幻滅されるのが怖くて、また「思ってたのと違った」って言われるのが怖くて、毒を吐くって行為で初めから理想なんて作らせないで、自分から壁を作っていたんだ。
それが分かった時、あたしは今まで以上に、結夢を可愛いと思った。
「で、どんな弱み?」
あたしは一口オレンジジュースを飲んだ。
けど100パーセントオレンジジュースは、氷によって薄められていた。
「見られたの……」
不機嫌そうに結夢は呟いた。
「何を?」
「………痴態」
結夢のカップを持つ手に力が入った。
そして恥ずかしそうに俯く。
「ち、痴態って!?裸とか!?」
思わぬ弱みに、あたしは思わず興奮した。
何何!?
結夢ってば最初からそんな!!?
あらぬ妄想が炸裂し、あたしまで顔が赤くなった。
「裸じゃないわよ!変な妄想やめなさいよ、変態!」
結夢は顔を赤くしながら憤慨した。
へ、変態ですと!?
あたしはちょっと膨れた。
「じゃあ何よ」