Distance‐マイナス5cm‐
スーパーでの買い物を終えて、叶チャンの家に向かう途中。
「あれ……早川サンだ」
早川サンは少し前から、違う制服の男の人と手を繋ながらこちらに歩いてくる。
叶チャンを見ると、何も気にしていない様子。
「新しい彼氏かな……」
「そーかもな」
ボソッと呟いたあたしの言葉に、相槌が入れられた。
早川サンもあたし達に気付いたみたいで、目が合った。
すれ違いざま……
「叶一……。やっぱり…そうだったんだ」
そう言って早川サンは、叶チャンばりに冷めた目であたし達を一瞥した。
そして何事も無かったみたいに、後方から早川サン達の楽しそうな話し声が聞こえてきた。