Distance‐マイナス5cm‐
「じゃあそろそろ帰るね」
「……うん」
「そんな寂しそうな顔すんなよ。連れて帰りたくなるだろ」
そう言って微笑み、あたしの髪をワシャワシャと撫でた。
「んー、やめてよぉ」
あたしはヘアスタイルを気にしながら膨れた。
「ごめんごめん。じゃ、また明日な」
誠はあたしの乱れた髪の毛を今度は優しく撫でてから、自転車に乗った。
「……ん、また」
あたしは撫でられた部分に触れながら、手を振った。
誠は微笑み、帰って行った。
今日は早く寝よう。
そーすれば目覚めた時にはもう明日だから。
早く明日になるから。
早く、誠に会えるから……