Distance‐マイナス5cm‐
父と母
枕元に置いてある携帯に手を伸ばした。
――5:26
「超早起きじゃん。外暗いし」
めざましが鳴る一時間以上も前に、目が覚めてしまった。
昨日はあれからすぐお風呂に入って、1時前には寝ていたと思う。
特に早寝したわけでもないけど、自然と早起きしてしまった。
ドキドキして二度寝もできないよ。
誠に早く会いたい気持ちが、あたしの早起きの原因だったらしい。
いつも迎えに来てもらってるし、たまには迎えに行ってあげようかな。
迎えに行ったら、誠、どんな反応するかなぁ。
頭の中で、誠は驚きながら照れた様に笑った。
そんな誠をリアルでも見たくて、あたしはベッドから起き上がった。
階段を下り、洗面所で顔を洗った。
リビングの方を見ると、明かりが漏れていた。
お母さんか……。
リビングの戸を開けると、椅子に座ってコーヒーを飲みながら新聞を読む、お母さんの後ろ姿があった。
お母さんの姿を見るのなんて、何日ぶりだろう。
何週間ぶりかもしれない。