Distance‐マイナス5cm‐
「……うん。何?」
あぁ、きっと今、凹んでる事バレちゃったな……。
そんな自分に、また凹んでしまった。
『クリスマスさ……』
「……うん」
『夜、俺ん家来ない?』
「……………えッ?」
一瞬、どーゆう事なのか理解出来なかった。
『うち、毎年クリスマスは家族でやってて……。それで、彼女いるから今年は無理って言ったら、連れて来いって言われて……嫌だよな?』
気まずそうにボソボソと呟く誠。
――え、あッ……
それって、それって招待されてるの!?
誠の家族に!?
も、もしかしたら、どんな女と付き合ってるのか品定めしようって事!?
「息子はやらん!」とか言われちゃうの!!?
どーしよう!!
どーする、あたし!!?
頭の中に、
『拒否』『受けて立つ』『駆け落ち』
という三択が浮かんだ。
「駆け落ちは嫌!!」
『か、駆け落ち?』
いきなり意味不明な事を叫ぶあたしに、電話越しでも誠が動揺したのが分かった。