Distance‐マイナス5cm‐
「ただいま〜♪」
先に家に入った叶チャンに向かって言う。
「馬鹿、おまえんちは隣だろ」
そう言いながらもハニカム笑顔に胸キュン。
「たーだーいーまぁ」
だからもう一回、ちょっと膨れて言ってみる。
「はいはい、おかえり」
叶チャンは荷物を玄関に置いて、久しぶりの優しい笑顔をあたしに向けてくれる。
ドキッ!
最近ずっと冷たかったから、こんな笑顔久しぶりで、嬉しくて。
……大好きだなぁ
赤くなった顔が恥ずかしくて、叶チャンをまともに見られない。
俯いて玄関で突っ立ってるあたしに、
「何やってんの」
と、少し呆れた顔をされた。
はぁ……
そんな顔も大好きです。
「叶チャンは休んでて、できたら呼ぶから」
叶チャンの家のキッチンに置いてある、ウサギのマスコットのマイエプロンを身につける。
このエプロンは、叶チャンが小学生の時に家庭科の授業で作ってくれたんだ。
「おまえまだそんなん使ってんの」
「うん、宝物だよ♪」
「……アホ。じゃあ俺部屋で寝てるから」
「は〜い」
アクビをしながら部屋に向かう叶チャンに、笑顔で手を振った。