Distance‐マイナス5cm‐
とにかく、今のこのフワフワした幸福感や、胸が締め付けられる甘ずっぱい気持ちは、抑えようがない。
あたしはソワソワして、意味も無くリビングをぐるぐる回ってみたり、誠からメールがきてないか何回も携帯を開けたり閉めたりしてみたり。
するとその携帯から、誠からのメールを知らせる着信音が鳴った。
――来たッ!!
胸を弾ませ、携帯を開きながらバッグを掴んだ。
『着いたよ☆』
その内容を見る事も無く、あたしは玄関の扉を勢い良く開けた。
「誠ッ♪」
あたしがそう呼ぶと、あたしに劣らないくらいの満面の笑顔が迎えてくれた。
「のん、今日は随分可愛いじゃん」
誠はあたしの頭を優しく撫でた。
「今日は特別な日だもん」
その言葉に誠は微笑んで、あたしの手を引いて歩き出した。
初めてのデート。
初めての彼氏とのクリスマスイブ。