Distance‐マイナス5cm‐
「また、来年も一緒に来ようね……」
あたしはツリーを見上げ、繋いだ手に力をこめた。
「当たり前。ずっとな」
その手を、誠も強く握った。
クリスマスツリーの輝きと、誠の手の温もりが、あたしをとても幸せな気持ちにさせてくれた。
喫茶店に入ると、誠はコーヒーを注文した。
あたしは、今日はちょっと大人っぽく、レモンティなんぞを注文してみた。
「誠もコーヒーかぁ」
結夢も誠も大人だなぁ。
誠なんてバカ殿のくせに!
と、ちょっとひがんでみたり。
こんな所が子供なのかな、あたしって。トホホ
てかトホホって!
思わず心の中でノリツッコミしちゃうし。
「コーヒー美味いのに、お子様のんチャン♪」
誠はニヤつきながら言った。
「ちょっとぉ!お子様って何よ!てか今あたしの心読んだんでしょ!?」
絶対今あたしの心読んだ!
誠はあたしの事になると何かと勘がイイからな。
きっとあたしの電磁波と波長が合ってるのね。
ジトーっとした目で誠を睨んだ。
「つかのん、口に出してるから」
そう言って誠は苦笑した。