Distance‐マイナス5cm‐
「いらっしゃい。よく来てくれたわ♪」
「へぇー、可愛い彼女捕まえたじゃん」
「誠もお父さんに似て中々やるなぁ」
「もうパパったら♪」
こ、これは……。
誠の家に緊張して入ると、輪っかの連なった物やら、花やら、綿やらで派手に飾り付けされたリビングに通され、何とも温かいご家族が迎えてくれた。
誠ママは若くて、優しそうな顔をしてよく笑う。
誠シスターは綺麗で、笑った顔が誠にそっくり。
誠パパは、ニヤけた笑いが誠と同じだった。
明らかに家族だった。
でももう一人、ちょっと派手目でスッゴク可愛い女の子が、無言であたしを睨みつけている。
妹さんかな?
てか何であたしは睨まれてるの!?
取り敢えず愛想笑いを浮かべたけど、いきなりそっぽを向かれた。
な、何で!?
その巻かれた髪は栗色で、フランス人形みたいな顔は誠には似てなくて、でもその可愛さは、結夢にも引けを取らないくらいだった。