Distance‐マイナス5cm‐
妹さん?を気にしつつ、取り敢えずあたしは焼いてきたクッキーを誠ママに渡し、促されるまま椅子に座った。
そこは所謂、お誕生日席。
誠はその斜め左の、もうフランス人形にしか見えない妹さん?の前に座った。
誠はあたしをご家族に紹介してくれた。
そのあと、ご家族の紹介をあたしに始める。
「これが母さん、これが父さん、で、こっちが姉貴。ちなみに六個上ね。で、こっちが……」
あたしは呼ばれたご家族の方を向いて、一人一人に笑顔で頭を下げた。
そして最後にフランス人形の紹介をしようと、誠が顔を向けた時。
「マコ、遅かったじゃない。ずっと待ってたのよ?」
フランス人形は眉を少し吊り上げて、遮るように言った。
――ん?マコ……?
「別に待っててくれなんて言ってねーだろ。俺はデートだったんだ」
誠はいつに無く乱暴な言葉遣いで、フランス人形に冷たく言った。
「そーゆう言い方ないでしょ!?待っててあげたんだからお礼くらい言いなさいよ」
それに対しフランス人形も、眉を更に吊り上げ言い返す。