Distance‐マイナス5cm‐
あたしはその様子をオロオロしながら見ているのに、誠の家族はニコニコと和やかムード。
「だからお前に待ってろなんて言ってねーだろ。つか何でお前がいんだよ」
「ヒドッ!それが毎年一緒にクリスマス祝ってきた幼なじみに言う台詞!?」
――てか、あれ?
今、『幼なじみ』って言った……?
しかも、毎年一緒にって。
「お前は彼氏と二人で過ごしてろよ」
「彼氏なんていないし」
「寂しい奴だな」
誠が皮肉っぽい笑顔を浮かべると、フランス人形は顔を真っ赤にさせた。
「マコだって中三の時はいなかったじゃない!!」
フランス人形が叫ぶと、やっと誠ママが止めに入った。
「まぁまぁ二人とも、のぞみチャンがビックリしてるでしょ。誠も美姫チャンもそれくらいにしなさい」
――ミキ。
って言うのか、このフランス人形チャンは。
誠ママに諭されて、フランス人形……もとい美姫チャンは、ぶすッとしてそっぽを向いた。
「で、このうるさいのが向かいに住んでる美姫。俺らの一個下」
少し疲れたような顔をしながら、美姫チャンの紹介をする誠。