Distance‐マイナス5cm‐



「ねぇ叶チャン、一緒にご飯食べるの久しぶりだね」


「そーだな」


向かい合いながら、叶チャンはあたしお手製のハンバーグを頬張る。


「そんなに美味しい?」

「普通」と、無表情でまた頬張る。


言ってくれなくても、無表情でも、本当は美味しいって思ってくれてる事なんてすぐ分かる。

だってほら、食べ始めたら箸が止まらないじゃん。


素直じゃないなぁ。


「また一緒に夕ご飯食べたいな」

「あぁ……。いつでも来ればイイんじゃね」

「ホントに!?そんな事言われたら毎日来ちゃうよ!」


その言葉が嬉しくて、つい身を乗りだす。


そんなあたしの行動に驚いたのか、一緒箸を止め、それから少し視線を落とし

「別に……イイんじゃねーの」

そう言った口元は笑っていた。



きょっ、叶チャン!

反則だよぉ!!



いやいや、でもただたんにハンバーグが食べたいだけなのかも?

ハンバーグ大好きみたいだし?

てかあたしフラれてるし?


でもでも、今は素直に喜んでおこう。





「叶チャン、ありがとねッ」

「別に……」

もう叶チャンはいつもの無表情で、ハンバーグを頬張っている。
< 17 / 481 >

この作品をシェア

pagetop