Distance‐マイナス5cm‐
「ねぇ叶チャン、一緒にご飯食べるの久しぶりだね」
「そーだな」
向かい合いながら、叶チャンはあたしお手製のハンバーグを頬張る。
「そんなに美味しい?」
「普通」と、無表情でまた頬張る。
言ってくれなくても、無表情でも、本当は美味しいって思ってくれてる事なんてすぐ分かる。
だってほら、食べ始めたら箸が止まらないじゃん。
素直じゃないなぁ。
「また一緒に夕ご飯食べたいな」
「あぁ……。いつでも来ればイイんじゃね」
「ホントに!?そんな事言われたら毎日来ちゃうよ!」
その言葉が嬉しくて、つい身を乗りだす。
そんなあたしの行動に驚いたのか、一緒箸を止め、それから少し視線を落とし
「別に……イイんじゃねーの」
そう言った口元は笑っていた。
きょっ、叶チャン!
反則だよぉ!!
いやいや、でもただたんにハンバーグが食べたいだけなのかも?
ハンバーグ大好きみたいだし?
てかあたしフラれてるし?
でもでも、今は素直に喜んでおこう。
「叶チャン、ありがとねッ」
「別に……」
もう叶チャンはいつもの無表情で、ハンバーグを頬張っている。