Distance‐マイナス5cm‐


「おばさま、これ美味しいね♪」

美姫は誠ママの手料理であろうミートローフを口に運び、満面の笑顔で言った。


――こいつ……手強い。





美姫はそれからも笑顔を崩さず、

あたしは引き攣った笑いは崩れず、

誠は疲れたような顔をして、それぞれ御馳走を平らげた。



そして最後に、クリスマスケーキを誠ママが切りわけてくれた。


あたしのケーキには、誠ママが気を使ってくれたのか、チョコレートのプレートが乗っかっている。


そーいえば誠、甘い物好きなんだっけ。

「誠にプレートあげる」

あたしは誠のお皿に、プレートを乗せた。

「……あ、えーと、ありがとな」


誠は少し引き攣った笑みを浮かべた。


あれ?あんまり嬉しそうじゃない。


それを見ていた美姫は、鼻で笑った。

「のぞみサン、何にも知らないのね。マコはチョコレート食べれないのよ、昔食べ過ぎてね」


そしてあたしが誠にあげたチョコレートでできたプレートを、自分の皿に移した。



――知らなかった……



誠の「今は超好きだから!美姫は勝手に取るな!」と言うフォローが、更にあたしを凹ませた。
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