Distance‐マイナス5cm‐




あたし、何こんな大胆な事してるんだ!




暗い家の中に入った瞬間、頭が冷静になった。

そしてそれと同時に、恥ずかしさと緊張が押し寄せてくる。


さっき誠が言った「ヤバイ」の意味を、頭が勝手に分析し始めた。

分析結果が出ると、今度は心臓が早鐘を打ち始めた。






「ヤバイ」って、「そーゆう事」だよね。




で、でも付き合ってるんだから当たり前の事だし、今までそーゆう事が無かった方がきっとオカシイんだ。


しかも二ヶ月も!


で、でもでもやっぱり心の準備がぁ!!



「のん、どーした?」


分析と妄想に夢中で、玄関に突っ立ったままのあたしは、誠の声ではッとした。


「あ、な、何でもないよ。あたしの部屋行こう」


そう言ってあたしは階段を上がり、自分の部屋に入って暖房を点けた。


「飲み物持って来るから、適当にくつろいでて」


いきなり慌て始めたあたしの態度に、呆気に取られている誠を部屋に残し、ドタドタと階段を下りてキッチンへ向かった。
< 178 / 481 >

この作品をシェア

pagetop