Distance‐ﾏｲﾅｽ5cm‐

やっぱり、好きだな。


ずっとずっと、ずっと前から大好きだった。


フラれたって、今更諦めらんないよ……



「ねぇ、叶ﾁｬﾝ……」


「ん？」


二つ目のハンバーグに手を伸ばし、目だけはあたしに向ける叶ﾁｬﾝ。



「今日の人、彼女ｻﾝ？」

あたしは叶ﾁｬﾝからは目をそらし、ハンバーグに目を落とす。


「さぁ、まぁそーなんじゃね」


「彼女がいるのに、あたしなんかと手繋いじゃダメだよ」


あたしはやっぱり叶ﾁｬﾝの顔が見れなくて、ハンバーグをひき肉に還元中。


「俺がそうしたかったんだから、イイんじゃね」

そ、そうしたかったって!?


「え、あ、あのｯ…」

更にハンバーグはひき肉へと姿は還元されていく。


「おまえ転ぶと泣くからな。飯遅くなるだろ」


「………あ、そ」


どんだけハンバーグ好きなのよ!?



「好き……なの？」


「は？」

「あｯ、ハンバーグの事じゃなくて、彼女の事！」

「……知らね」


し、知らねって！

他人事みたいにぃ!?


「叶ﾁｬﾝはさ、何で女の子取っ替え引っ替えしてるの？」


「……好きじゃないからだろ」