Distance‐マイナス5cm‐


「はい。砂糖はちゃんと五個入れてきたよ」

「お、サンキュー」


部屋に入って、誠にコーヒーを渡した。




てか砂糖五個も入れたら、絶対糖尿病になるよ。


と呆れつつ、あたしは誠の隣ではなく、テーブルを挟んで向かいに座った。




やっぱり緊張するしね!





向かい合っても学校の雰囲気とはやっぱり違くて、緊張を紛らわせようと、紅茶をぐいっと飲んだ。



「熱ッ……」



煎れたばかりだって事忘れてたぁ。


火傷したかも。




「大丈夫かよ?」

誠が心配そうに、身を乗り出してくる。

「んー、大丈夫。でも舌火傷したかもぉ」


あたしは涙目になりながら、火傷でヒリヒリする舌を少し出して誠に見せた。


「あー、ちょっと赤くなってるよ」

「ふぉんとにぃ〜(ホントにぃ〜)?」


あたしがそう言うと、自然と目が合った。



ひ、久しぶりに至近距離だ。


あたしの緊張はピークに達して、その緊張に耐えられず、目をそらした。





舌を出したままのあたしは、絶対アホ面だったんだけど……


誠の顔が更に近づいてきて、誠の舌が、あたしの舌に触れた。
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