Distance‐マイナス5cm‐


なッ、ななななッ!


舐めッ!舐められたッッ!?



その火傷した、触れられた場所は、誠の熱で、ピリッと微かに痛みが走った。



顔を真っ赤にして硬直しているあたしと、

真剣な顔をしている誠。



そして、また目が合った。


誠の瞳は、色っぽく潤んでいた。




「……誠」




頭の中真っ白で、でも顔はまだ真っ赤なあたしがそう呼ぶと、誠は目をそらし、俯いた。



「ごめん、いきなり。やっぱ俺、帰るから」


「あ、ま、待って」


テーブルに手をついて、立ち上がろうとした誠の手を掴むと、中腰のまま誠はあたしを見た。



やっぱりその瞳は少し潤んでいて……



でも、目が合うと視線をそらされる。



「俺、のんが嫌がる事したくないから」


「嫌な事なんて……誠にされて嫌な事なんてないよ」


視線をあたしに戻した誠の目を、あたしはそらさない。

それがあたしの決意の表れ。



「あたし、誠に話さなきゃいけない事があるって、言ったよね。それ、今から話すから……」


「……ん」


あたしが掴んだ手を離すと、誠は腰を下ろした。
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