Distance‐マイナス5cm‐
「あのね……」
「……ん」
向かい合ったままで、気まずい沈黙が漂う。
ちゃんと言わなきゃ。
ちゃんと言わなきゃ、これからもっと言えなくなる。
でも……
でも、どーしても次の言葉が言えない……。
そういえば、叶チャンともこんな事あったな。
もう、三ヶ月も前、あたしが話があるって呼び出したのに、あたしは中々次の言葉が言えなくて……
でも叶チャンは、あたしが何を言おうとしてるかなんてすぐに気付いてくれて、
あの時は「やっぱり叶チャンだな」って、あたしの事何でも分かってくれてるって安心した。
でも、ホントはそんな事で甘えちゃいけなかったね。
ちゃんと言わなきゃいけなかったのに……。
誠は、あたしが何を言おうとしてるかなんて、きっと分からない。
分かっていたとしても、これはあたしがちゃんと言わなきゃいけない事。
もし、何と無くでも気付いていたのなら、それこそずっと辛い思いをさせてきた事になるよね。