Distance‐マイナス5cm‐
「どこに……されたの?」
「――え……?」
「あいつに、どこにキスされた?」
「……口と……首筋」
あたしは罪悪感から、少し俯き加減に答えた。
「のん、顔上げて」
その言葉に顔を上げると、誠からのキスが降ってきた。
でもそれは、いつもしてくれていた優しいキスなんかじゃなくて。
「んッ……誠」
唇が少し離れた瞬間に、やっと息をした。
その時に見えた誠の顔は、今にも泣き出しそうで……。
あたしの胸を締め付けた。
「俺、我慢しなくてイイ?」
そう言ってあたしの答えもきかないで、またキスを降らせる。
いつも優しい誠のこんな姿、初めて見た。
でも誠の舌は、手よりも温かくて、誠の体温に愛しさを感じた。
その舌が首筋に這われた時、もう叶チャンの顔は浮かんでこなかった。
誠の熱だけを感じる。
「誠……好きだよ」
あたしはその熱に涙と愛しさが溢れて、きゅっと抱き着いた。