Distance‐マイナス5cm‐

きっと向こうもそう思ってるんじゃないかな。


だからお父さんはあまり家に帰って来ないし、お母さんも仕事に没頭しちゃうんじゃないかな。



だって、親である前に、一人の人間だもん。


もう、親っていう存在に依存したり、親が絶対なんだって思う程子供じゃない。


あの人達にも、きっと人生ってものがあるから。





それが当たり前の事で、寂しいなんて思ったりしない。


寂しいなんて、思わないから……。










誠が来るまで、家の前であけおめメールの返信に取り掛かった。


やっぱり携帯があると、年賀状なんて中々書かない。

特別親しい人じゃないとね。



今年は結夢にしか年賀状書いてないしな。





去年までは……




叶チャンにも書いてたな。


叶チャンには手渡しで、それ渡してから初詣に行ってたっけ。









メールを作成する事に没頭していると、隣の家から門が開く音がした。





隣の家。




叶チャン家。




あたしはわざと顔を上げない。



でも、心拍数が異様な程上がった。
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