Distance‐マイナス5cm‐
おじさんは相変わらず空気が読めない。
いつも爽やかな笑顔で地雷を踏む。
そういえば、叶チャンのお父さんとお母さんは幼なじみだったっけ。
幼なじみで結婚して……離婚した。
おばさんは凄く優しくて、綺麗な人だったって、何と無く覚えてる。
おじさんもおばさんもあんなに仲良さそうで、昔からお互いを知ってる関係だったのに……
子供だったあたしには分からない、きっと本人達しか知らない色んな事があったのかな。
まだ保育園か、小学校の低学年だったかなぁ。
いきなりおばさんがいなくなって。
小さかったあたしにはよく理解出来なかったし、あんまり覚えていないけど。
叶チャンは凄く凄く悲しそうで、ふさぎ込んで、ずっと笑わなかった事を覚えてる。
叶チャン……。
さっき、叶チャンが車に乗り込む時、一瞬だけ見えた顔。
左の頬には痣みたいなのがあって、口許は切れたみたいに赤くなってた。
ケンカでもしたのかな。
でも、叶チャンが顔に痣作ってるのなんて初めて見た。
なぜか、胸が痛んだ。