Distance‐マイナス5cm‐
「悔しいけどやっぱり誠は頭イイね」
「まぁなぁ〜。だからバカ殿はやめろよ」
そう言ってあたしの額を指で弾く。
ちょっと膨れて睨むと、からかう様に頭をワシャワシャと撫でられた。
学校が終わってから、誠の家で宿題をしている。
その宿題を、誠はスラスラと解いていっていた。
クリスマスには入らなかった誠の部屋は、全体的にブルーで統一されていて、男の人の部屋にしては片付いていた。
と言うか、あまり不必要な物がないって言うか、まぁ殺風景な部屋だった。
それを言うと、
「あんまり家に帰らなかったし、部屋に居る時間の方が少ないから」
と、少し淋しげに笑った。
そういえば、中学の頃は遊び回っていて、高校ではバイト漬けだったね。
何だかちょっとだけ、誠を知れた気がした。
学校では、明日からいきなり新学期のテストをやるらしかった。
もうちょっと休ませて欲しいのにね!
とんだ鬼畜な学校だわ!
「はぁ〜、もう宿題なんてイイよ」
せっかく誠がバイト休みなのに。