Distance‐マイナス5cm‐
年が明けてから、誠はバイトを減らしてくれた。
あたしが、もっと一緒に居たいって言ったから。
我が儘言ったのに、誠は嬉しそうに笑ってたっけ。
そんな我が儘でも喜んでくれる。
でも、こんな我が儘言っちゃう事とか、独占欲の塊みたいになっちゃってる事とか、もうそんな自分が嫌い。
自己嫌悪に陥ってると、誠の指があたしの顎にのびた。
「のん元気ない?大丈夫か?」
そして近づいてくる、顔。
普段はアホみたいに可愛いのに、二人の時だけはカッコイイ。
「目ぇとじて?」
その顔に見惚れているあたしに、誠は優しく囁いた。
次に来るであろう事を予想して、ぎゅッと目をつむった。
あたしがあげた香水の匂いがする。
誠の熱を間近に感じる。