Distance‐マイナス5cm‐
誠は仕方ないという風に腰を上げ、飲み物を取りに部屋を出た。
残されたのはあたしと美姫の二人。
き、気まずい……。
あたしは誠ママが出してくれたオレンジジュースを、ストローで啜った。
少しの沈黙の後、それを破ったのは美姫だった。
「ねぇ、そんなに不安なの?」
「なに……が」
「あたしとマコの事、気になってるんでしょ?」
気付かれてる。
美姫の勝ち誇ったような顔が、あたしを更に不安にさせた。
「マコはあたしのねぇ、初めての人」
「……は?」
初めてって、何の初めて?
「この意味、分かるでしょ?」
ふふんッ。と鼻で笑って続ける美姫。
「今年の夏休みにねぇ。あたしとマコ、したの」
したって、何を。
夏休みって、最近じゃん。
意味分かんない。
誠は美姫の事、好きじゃないんだよね。
確かにあたしと付き合う前だけど
男は好きじゃない人ともできるって言うけど
誠も、やっぱり男だから……?
叶チャンも、女の子取っ替え引っ替えしてたもんね。