Distance‐マイナス5cm‐
「……男の人って、好きな人とじゃなくてもできるって言うじゃん」
「できるって……あ、うん、まぁ」
困ったように宮下クンは頷く。
あたしは溜め息を吐いた。
やっぱりそーゆうものか。
誠は違うって思うのも、あたしの勝手な理想だよね。
「でも、誠は違うと思う!浮気とかそーゆうの、できる奴じゃないと思う!昔のあいつは結構遊んでたみたいだけど、のぞみチャンの事好きになって変わったと思う!!」
「いや、別に誠の事じゃないし、浮気とかそーゆうのでも」
「だからちゃんと話、聞いてやって」
宮下クンは哀願するように言うと、「お願い」と呟いて席を立った。
宮下クンは、誠とは高校の時からの友達だよね。
それでも、何であんなに誠を信用してるんだろ。
ずっと、誠と仲良かったからかな。
あたしが叶チャンしか見ていなかった間も、宮下クンや結夢やみんなは、ちゃんと誠を見てたんだね。
あたしは誠を知らないんじゃなくて、知ろうとしてなかっただけか……。