Distance‐マイナス5cm‐


「あたしの事、いつから好きだったの……?」


「多分、隣の席に座った時から、好きだったと思う」



それって入学した時からじゃん。

夏休みより前からだよね。

好きな人が居ても、誠はそーゆう事しちゃえるんだ。


「美姫チャンの事、好きだった事ある……?」


「あいつは……美姫の事は、妹みたいに思ってた。恋愛感情とかは持った事ない」


そう聞いて、嬉しいのか悲しいのか分からない。




じゃあ何で美姫チャンと?



そう、聞けたらイイのに。




「……そっか」



これ以上、聞けない。


聞きたくない。




「俺の昔の事、話してイイ?」



知りたい……。


でも、知りたくない。


それがあたしに取ってイイ事だったら知りたいけど、嫌な事だったら知りたくないよ。



なんて、いつもあたしは見ないふりをしてる。


誠の事知りたいって思ってたのに、知るのが怖い。



過去なんて関係ないって。

過去があるから今の誠がいるって、そう思える強さは、あたしにはない。
< 217 / 481 >

この作品をシェア

pagetop