Distance‐マイナス5cm‐
もぉ〜!!
赤い顔で、そそくさとピンクの袋にそれをしまうあたしを、結夢は楽しそうに見ていた。
あたしはそれを無視して、窓の外を眺めている誠に愚痴りに行く事にした。
「ねぇ〜、結夢ってばさぁ、こんなの学校に持って来て……て、何見てんの?」
あたしが愚痴りながらピンクの袋から例の物を取り出そうとしても、誠は上の空だった。
あたしも誠にならって窓の外を眺める。
でも、外は校門と、チラチラ降る雪しかなかった。
「……雪やまないかなぁ」
ん?雪?
「雪がどーしたの?」
「――えッ!?のん居たんだ!?」
そ、その反応は何!?
てか気付かれてなかった事が物凄くショックなんだけど。
「ずっと居たよ。居ちゃ悪かった?ヒドイ」
て、来たのなんてついさっきだけどね。
でもわざとそう言ってやるんだから。
ふんッ。と拗ねてみせた。
「ゴメン。ちょっと考え事してて」
そう言って慌てる誠。
「雪やまないかなぁって?」
何でそんな天気の心配なんてしてるのよ。
「何で知ってんの!?」
「さっきそう呟いてたじゃん」