Distance‐マイナス5cm‐


何で、あたしと叶チャンはこんな風になっちゃったのかな。


いつも一緒に居て、何でも言い合えて。



淋しい時、いつも隣に居てくれた。

辛い時、いつも慰めてくれた。

楽しい時、いつも一緒に笑ってくれた。



何であたし達は、離れちゃったのかな。



叶チャンが、ホントは淋しがり屋な事、あたしは知ってる。


それでも、いつも甘えていたのはあたしの方だった。





――叶チャン……









あたしは零れそうな涙が落ちないように、上を向いた。




「のん、ちゃんと素直に……」

「こうやってね、一番最初に鼻の頭に雪が落ちると、願い事が叶うんだって」


あたしは誠の言葉をさえぎった。





また、チラチラと降り始めた雪。




みんなが、幸せになれればイイのに。


みんなが、いつも笑っていられればイイのに。



そんな願いをこめながら、あたしは空を見上げた。




「のん、鼻低いから無理だよ」


「大丈夫だも……あッ」


あたしの鼻の頭に、冷たい雪が確かに触れた。
< 228 / 481 >

この作品をシェア

pagetop