Distance‐マイナス5cm‐
何で、あたしと叶チャンはこんな風になっちゃったのかな。
いつも一緒に居て、何でも言い合えて。
淋しい時、いつも隣に居てくれた。
辛い時、いつも慰めてくれた。
楽しい時、いつも一緒に笑ってくれた。
何であたし達は、離れちゃったのかな。
叶チャンが、ホントは淋しがり屋な事、あたしは知ってる。
それでも、いつも甘えていたのはあたしの方だった。
――叶チャン……
あたしは零れそうな涙が落ちないように、上を向いた。
「のん、ちゃんと素直に……」
「こうやってね、一番最初に鼻の頭に雪が落ちると、願い事が叶うんだって」
あたしは誠の言葉をさえぎった。
また、チラチラと降り始めた雪。
みんなが、幸せになれればイイのに。
みんなが、いつも笑っていられればイイのに。
そんな願いをこめながら、あたしは空を見上げた。
「のん、鼻低いから無理だよ」
「大丈夫だも……あッ」
あたしの鼻の頭に、冷たい雪が確かに触れた。