Distance‐マイナス5cm‐
微妙な関係
朝、あたしと誠と結夢は三人で体育館へ向かった。
新しい教室に入る前に、1年生の歓迎会を体育館でやるらしかった。
でも取り敢えずはクラス毎に列ばなくちゃいけないらしく、誠と別れて結夢と列に入った。
叶チャン……はまだ来てないみたいだ。
2年、3年が集まる中、吹奏楽部の演奏で、1年生はクラス毎に列になって入って来た。
所謂、お披露目ってヤツね。
去年はあたしもあの列に入ってたな。
緊張したりはしなかったけど、一目叶チャンを見ようと思って、後から来る列を凝視してたっけ。
そーゆう意味ではドキドキしてた。
あ、そーいえば、この時から誠と叶チャンの人気は凄かったな。
もう体育館に入るなり、黄色い歓声が沸き上がって。
「あの娘ヤバくない!?かなり可愛い!」
「ヤバイヤバイ!マジ可愛い!!」
「付き合いてぇ〜」
そうそう、こんな風に女の先輩達が……
って、うちのクラスの男じゃん!!
男子達の溜め息の先を見ると、そこにはフランス人形が歩いていた。
――美姫……