Distance‐マイナス5cm‐
自分の席に着くと、隣には、茶髪のコワモテな男子が座っていた。
ヤ、ヤンキー!?
ビクビクしながら様子をうかがう。
すると、ちらッとヤンキーと目が合った。
ヒィッッ!!
シバかれる!!
「あれ、三崎のぞみ?」
あまりの恐さに目をギュッとつむっていると、隣から低い声で名前を呼ばれた。
なッ、なななッ、何であたしの名前!!
シバくリストに入ってたとかぁ!?
でもやっぱり目が開けられない。
「三崎のぞみだろ?俺、中條浩(ナカジョウ ヒロ)っての。よろしく」
うっすら目を開けて隣を見ると、コワモテヤンキーは笑ってあたしを見ていた。
この人、笑うと可愛いじゃん。
よく見ると、大きめな瞳は優しそうだった。
「よ、よろしく」
あたしも笑顔で返した。
あ、そーいえばあたしの名前……。
「何であたしの名前知ってるの?」
特に有名でも何でもない、普通の一般生徒なあたし。
あたしはこのコワモテヤンキー……改め、中條クンの事は知らなかった。