Distance‐マイナス5cm‐
叶チャンと前みたいには戻れないとしても、仲直り出来ないかな。
ずっと何年も一緒に過ごしてきた人と、こんな風にぎくしゃくしたままじゃ嫌だ。
あたし達は幼なじみだから。
「叶チャン、同じクラスになるの、小学生の時以来だね」
気付いたら、あたしはそう言っていた。
久しぶりに叶チャンに向けた笑顔。
自然に笑えた。
「……あぁ」
口元に置かれていた手は下げられて、叶チャンは優しく笑った。
あたしの勘違いだったらイイのに。
その時の笑った顔は、すごく嬉しそうだった事。
授業開始のチャイムと同時に、先生が教室に入ってきて、すぐにつまらない授業が始まった。
「ロリにイイ事教えてやるよ」
小声で中條クンが話し掛けてきた。
「ロリって言わないでよ。中條クンの事もピロリンって呼ぶよ」
「そのネーミング、イイねぇ。じゃあそれで」
マジかよ!?
決まっちゃったよ!
コワモテヤンキーでピロリンかよ!?
中條クンの似合わないあだ名が決まった所で、自動的にあたしはロリというあだ名になった。
「で、イイ事って何?」
もうあだ名の事は気にしない事にして、先を促した。