Distance‐マイナス5cm‐
昼休み
「結夢〜、早く購買行こう」
昼休み。
あたしと結夢はお昼ご飯を買いに、購買へと足を向けた。
2年生になって階が一つ下がり、一階にある購買が近くなった。
その分時間に余裕も出来て、1年生の時よりもゆっくり教室を出た。
するとあたしの教室の前を、フランス人形が不機嫌そうな顔をしながら通った。
――美姫が何で2年の教室の前を?
「ねぇ君1年生でしょ?2年に誰か知り合いいるの?」
あたしが美姫の後ろ姿を目で追っていると、2年の男子達が美姫に声を掛けた。
美姫は歓迎会の時、かなり目立ってたからな。
今も、美姫を皆が振り返って見ている。
「ねぇねぇ番号交換しない〜?」
いかにも軽そうな男達が、こんな学校内でナンパを始めた。
美姫はそれを無視してスタスタと歩いて行く。
「ねぇちょっと待ってよ」
美姫の手首を、男は掴んだ。
あたしはそれを見た時、何でだろう……何だか凄くムカついて。
「美姫!ずっと捜してたんだよ!」
そんな事を言っていた。