Distance‐マイナス5cm‐


「のぞみサン」

「は、はい……」

結夢との睨み合いを先にやめた美姫が、今度はあたしを睨んだ。


いきなりの事に変な返事しちゃった。


「マコの事、どーやって縛ってるか知らないけど、最低ね」

美姫は更に睨みをきかせた。


……は?

縛るって、何?


あたしがキョトンとしてると、美姫は続けた。


「せっかくサボって遊びに行こうって誘ったのに、断られたんだけど。あ〜ぁ、マコが可哀相」


あ、だから2年の教室の前歩いてたのか。

……じゃなくて、初日からサボるつもりだったなんて、どんな不良娘よ!

……て、これも違くて


「誠はのんと付き合ってから変わったの。それも自主的に。誠とのんは全校生徒公認のバカップルなんだから」

そう、結夢それだよ!

……て、最後のはいらないけどぉ!!



「馬鹿馬鹿しい。変わったなんて、いつまでもつのかしら」


結夢の言葉にも美姫は怯まず、鼻で笑った。




て、ちょっと待ってよ。

聞き捨てならない言葉があったよね?


誠の事、美姫は信じていない。


「美姫、あたしの事は何言ってもイイけどさ、誠の事そんな風に言わないで」
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