Distance‐マイナス5cm‐



ムカつく。


てのよりは、何だか悲しかった。



美姫は誠をずっと見てきたんだよね?

それなのに、誠を信じてあげられないの?

誠が、今のままじゃダメだって、変わろうって思った事を何でそんな風に言っちゃえるの?



美姫が誠を想う気持ち。

それはあたしが叶チャンを想っていた気持ちと、きっと同じだと思ってた……。



なのに、美姫は違うのかな。


あたしが知っている誠よりも、美姫が知っている誠の方がいっぱいで、

あたしも負けないくらい誠の事好きだって、美姫に対抗したいって思ってたのに

違ったのかな。



「何でそんな事言えるの?好きなら、誠の事応援したいって思わないの?誠、頑張ってるのに。高校での思い出いっぱい作りたいって、頑張ってるのに」


ここが廊下だって事も忘れて、あたしは泣きそうになっていた。


でも、周りなんて気にしないよ。



いつも人を見下したような態度の美姫の、こんな悔しそうで、悲しそうな顔、初めて見たから。


「うるさいッッ!!」


美姫はそう吐き捨てて、駆け出した。
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