Distance‐マイナス5cm‐
「のぞみサン、いらない事しないでくれる?」
あたしの後ろから、ボソッと美姫が言った。
「あんたは相変わらず可愛くないね。あたしにそっくり。周りが見えてないとことか特に」
「うるさいわね、一緒にしないで」
2年女子達は、あたし達のやり取りを訝し気な顔をして見ている。
「あたしもこの娘にムカついてるの。だから今日はあたしが話しするから、また今度にしてもらえないかなぁ?」
あたしがそう言うと、女子達はもう怒りが鎮まったのか、「分かったわよ」と言って去って行った。
「はぁ〜……怖かった。あんたも逆上させるような事言わないの」
小心者のあたしには恐すぎだっての。
あたしはその場にへなへなと座った。
「……何で助けたりするのよ」
美姫は見下ろすようにして、あたしに聞いてくる。
何でだろうね。
こうしたかったから?
「分かんない。美姫が前のあたしや結夢に似てたからかな」
「どーゆう事よ……」
「周りが見えてないとことか、心を開けないとことか、猪突猛進なところ?」
「馬鹿にしてんの?」