Distance‐マイナス5cm‐
あたしは「あはは」と笑った。
あ、そーいえば結夢置いてきたまんまだった!
「じゃあ美姫、またね」
あたしは立ち上がり、校舎に入ろうと美姫に背を向けた。
「……どーして」
「え?」
「どーして、マコは変わっちゃったの……」
美姫はポツリと呟いた。
それは凄く、寂しそうで。
「マコはいつもあたしと居てくれたのに。高校生になってから変わった」
「美姫……?」
「どんな人と付き合ったって、いつも一緒に遊んでくれたのに。あたしにはマコだけなのに……何で、何であたしを置いてくの」
初めて見た、美姫の涙。
いつも勝ち誇ったような笑みを湛えていた美姫の涙。
「嘘よ。マコとしたなんて嘘なの」
「え、嘘って……」
「マコがどっかに行っちゃう気がして、あたしが迫ったの。でも……あたしが無理矢理キスしても、何もしてこなかった……何で?体だけの関係でも良かったのに……何でなの?あたしはホントにマコにとって、誰にとってもいらない存在だったんだ……独りなんだ」
美姫は……
美姫は、寂しかったんだね。