Distance‐マイナス5cm‐

こんなに可愛いのに手に入らないモノ。


可愛いから信じられないモノ。


人付き合いが苦手な美姫。




結夢と、きっと同じだったんだ。


美姫の上辺だけに惹かれて、勝手に幻滅していった人達。


容姿の所為でひがまれたり、この性格も禍して、友達も出来なくて。




でも美姫の高飛車な所や、高慢な所を分かっていても、一緒に居てくれた誠の事を、美姫は慕っていたんだね。


だから、失いたくなかったんだね。




「大切だったからじゃないかな」


「………?」


「美姫の事、誠は大切に想ってたから、手ぇ出したりしなかったんじゃないかな?」



誠はそういう人だよね?


美姫なら、分かるよね?


「ねぇ、あたしと友達になってよ。美姫の事、あたしは好きだよ」


素直じゃない所も、強がりな所も、全部あたしは知ってる。

それでもあたしは、美姫と友達になりたいんだ。


「ダメかな?」




「仕方ないわね」と笑った顔は、今まで見たどの笑顔よりも、幼くて、可愛かった。
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