Distance‐マイナス5cm‐

取り敢えずあたしは、昇降口に座って待つ事にした。




バイトもあるし、1時間以内には戻って来るよね。


あたしは結構気長だ。

それがちょっと自慢でもあるけど、誠や結夢にはとろいって言われるんだよなぁ、まったく。






「三崎サン、叶一クンとは別れちゃったの?」


「へ?」


瞑想していたところ、いきなり後ろから声を掛けられ振り返ると、懐かしの早川サンがあたしを見下ろしていた。


中学時代の学校のアイドルで、叶チャンの前の彼女。


相変わらず笑顔が可愛い。


「三崎サン、叶一クンと別れてから遠野クンと付き合ってるの?」


「えッ?えッ?あたし、叶チャンと付き合った事なんてないよ」


突然の質問に、あたしは慌てて正直に答えてしまった。


早川サンとはほとんど喋った事が無い。

たまに学校ですれ違うくらい。


そんな人にいきなりこんな質問されたら、そりゃ慌てるでしょ!



「えッ!?嘘ぉ。去年三崎サンと叶一クンが一緒に帰ってる時擦れ違ったでしょ、その時、やっぱり叶一クンは三崎サンと付き合ったんだなって思ってたんだよ」


な、何でしょう、その勘違いは。
< 263 / 481 >

この作品をシェア

pagetop