Distance‐マイナス5cm‐
「つ、付き合ってないよ」
あたしは苦笑いしながら、もう一度早川サンに言った。
そいえば……
今気付いたけど、叶チャンの事呼び捨てじゃなくなってる。
早川サンは誰かを呼び捨てにしたりは、あまりしない娘だったな。
好きな人には、特別だったみたいだけど。
早川サンの叶チャンに対する呼び方で、もう叶チャンを何とも思ってないって事がうかがえた。
「あ、そっか、叶一クン……」
早川サンは何かを言いかけたのに、あたしの顔を見て口をつぐんだ。
「何?」
「んー、三崎サン彼氏いるし、言わない方がイイのかなぁ」
何だろう。
あたしに彼氏がいると言えない事?
「あたしなら大丈夫だから、聞きたいかも」
何と無く続きが気になって、あたしは先を促した。
「そう?」と言って、早川サンは話し始めた。