Distance‐マイナス5cm‐
「叶一クンとあたし、付き合ってたんだけど……知ってる?」
もちろん知ってる。
叶チャンが今まで誰と付き合ってきたかなんて、きっとあたしは叶チャン以上に知ってると思う。
「中学の卒業式からだよね?」
「うん、でもあたしふっちゃったんだ。叶一クンの事、すごく好きだったから耐えられなかったの」
「え、どーゆう事……?」
すごく好きで付き合えたのなら、幸せなハズでしょ?
「あたしの事なんて見てくれなかったの。彼女はあたしなのに。いつも叶一クンが考えてるのは、三崎サンの事だった」
うそ……
叶チャンがあたしに冷たくなったのは、卒業式からだよ。
それなのに、あたしの事なんて考えてくれてるハズない。
あたしは何も言えないで、早川サンの顔をただボケッと見た。
「あたしがね、そんなに気になるんだったらあたしと別れて三崎サンと付き合えばイイじゃないって言ったら、叶一クン、三崎サンを彼女なんかにしたくないって言ったんだよ。それってどう思う?普通彼女に向かってそんな事言わないよねぇ」
早川サンは苦笑した。
「叶一クン、あたしの手を握ってくれた事もなかった……」