Distance‐マイナス5cm‐
何でだろう。
叶チャンの考えてる事が、全然分からない。
「彼女なんかにしたくない」って、どーゆう意味なんだろう……
「だから前擦れ違った時、あぁやっぱりねって思ったんだ」
だから……
あんな冷めた目であたし達を見たんだね。
まだ、叶チャンの事好きだったから……
「話はそれだけッ。なんか三崎サン達意外だったから。じゃああたし、彼氏が迎えに来てるから」
早川サンはとびきりの笑顔をあたしに向けて、校舎を出ようとした。
「ねぇ、早川サン!今、幸せ?」
あたしの呼び掛けに、早川サンは満面の笑みで振り返る。
「幸せッ!辛い時もあるけど、叶一クンの時みたいに、もう逃げたりしない。あたしは今の彼氏が大好きだから!こんな気持ちになれる相手って、そう居ないと思うんだ。だからもう、手放したくない!」
ひまわりみたいな笑顔は、中学の時に誰にでも向けられていた笑顔とは違った。
優しいだけじゃなくて、その笑顔は輝いているように見えた。
「じゃあねッ」
早川サンはあたしに手を振り、校門へ駆けて行った。