Distance‐マイナス5cm‐
「のぞみサン、そんなに目ぇ腫れる程泣ける映画って……何観たの?」
美姫はあたしの教室に入って来るなりお弁当を広げ、訝し気な顔をして聞いてきた。
「えっとぉ、何だったかなぁ。あぁ、たしかドラえもんだよッ」
うん、あたしはドラえもんを観て泣いたんだ。
あれ超感動するよね!
泣けるよねぇ!
「ふ〜ん」
美姫は自分から質問しておきながら、話題に乗ってこない。
まぁ、その方がイイんだけど。
「のんは泣き虫だからねぇ」
「結夢だって隠れ泣き虫のくせに」
「えぇー!有坂先輩でも泣くのぉ!?」
美姫、その反応は酷過ぎ。
とか思いながら、あたしも笑ってしまった。
「あたしを何だと思ってんのよ」
「見た目は天使、中身は悪魔!その名も有坂結夢!って有名よ」
「あんたに言われたくないわよッ!」
「あははははッ♪どっちもどっちぃ」
あたしは二人の掛け合いにケタケタ笑いながら、メロンパンを頬張った。
学校はイイ。
嫌な事なんて忘れられるもん。
笑ってれば、この雰囲気に溶け込める。
皆がいる。
学校はイイな……