Distance‐マイナス5cm‐
あれから両親が喧嘩する度に、叶チャンから電話がくるようになった。
「いつでもしろよ」なんて言ったくせに、あたしから掛ける前に掛けてきてくれる。
あたしはこの時、自分の事でいっぱいいっぱいで、ホントに周りが見えてなかったんだ。
「のん何か痩せた?てかやつれたような気がするんだけど……」
「え?」
「のぞみサン、そんな顔で笑ってると、マコが心配するよ」
結夢と購買から戻って来て、美姫も交えて三人での昼食。
2年2組での、あたし達のこの光景は、もうすっかり当たり前になった。
「あたし、何か変かな?」
二人は無言であたしの顔を見た。
何だろう。
あたし何かしたかな?
「ねぇ、のん。あたし達、友達だよね?」
結夢は真剣な顔であたしを見て言った。
「違うの?」
「あたしが聞いてるの。友達って、迷惑掛ける為にいるんじゃないの?辛い事、分け合う為に居るんじゃないの?」
「美姫は迷惑掛けられるの嫌だけどぉ、そんな顔してたらマコに心配掛けるから、どーせだったら今掛けてよ」