Distance‐マイナス5cm‐
家に入ると、お母さんとお父さんが居た。
静かに、何も話さないで。
「のぞみ、話があるの……」
お母さんは静かに言った。
「あのね、お母さん達……」
そして俯いた。
何?その続きは何よ?
「離婚しようと思う」
お母さんの代わりに、お父さんが静かに……でも確かにそう言った。
「……………は?」
意味が分からない。
離婚?
いつ決めたわけ?
は?何で?
意味分かんない。
「のぞみは、どっちについていく?」
お父さんは、固まっているあたしに、冷たく言った。
何……それ。
「……あたしは、どっちも嫌。あんた達の事なんて知らない」
言いながら、涙が伝った。
あたし、何で泣くの?
この人達にはこの人達の人生があって、あたしは干渉しちゃいけない。
そんなのわかりきってる事で、今更親子だとか家族だとか、そんなモノに依存しない。
でも……
どーして涙が流れるんだろう。