Distance‐マイナス5cm‐


『のぞみ?どーした……』


「……って」


『え?』



「あたしの親、離婚するんだってッ。あははッ、今更って感じだよねぇ。いつも家いないしさぁ、やっとするの?って思っちゃったよ〜でさぁ……」

『のぞみッ!!』




ツラツラと話していると、いきなり言葉を遮られた。


あたしはそれにビックリして、でも現実に戻されたような気がして……



「……うッ……ふぇぇ……うぅぅッ、叶チャッ……叶チャン」


『のぞみ、今どこ?すぐ行くから!』




あたしが場所を告げると、叶チャンはあたしを見付けるまで電話を切らないでいてくれた。






駆け付けた叶チャンは、あたしを力強く抱きしめた。




「お父さん、とッ、お母、さんがッ、り、こんするんだっ、てッ…それでッ、どっちに、ついてくかってッ…ふぇッ……うぇぇッ」


「のぞみ、大丈夫だから、大丈夫だから……」



叶チャンはそう言って、抱きしめながら背中を摩ってくれた。



あたしも力強く叶チャンを抱きしめた。




「ヤダッ……ヤダよ……ヤダーーー!!!」





泣きじゃくるあたしに、叶チャンは何回も「大丈夫」って言って、背中を摩った。
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