Distance‐マイナス5cm‐
その時も、外灯が一つだけのこの暗い公園で、あたしは泣いてた。
そんなあたしを見付けてくれたのは、やっぱり叶チャンだったね。
「今、何時?」
あたしが時間を聞くと、叶チャンは携帯を取り出した。
「9時前」
「……そっか」
時間を聞いてみたのには特に理由はなくて、自分がいつからこの公園に居たのかもよく分からない。
何時間、ここでこうやってたんだろう。
叶チャンは、何時間空を見上げてたのかな。
「今日、どーする?」
「………」
何も言わないあたしに、叶チャンはまた空を見上げた。
「有坂ん家行く?」
「………」
あたしは……
あたしが、今一番傍に居て欲しい人は――
「俺ん家、来る?」
「……うん」
叶チャンだけ。