Distance‐マイナス5cm‐
「あ、大丈夫……」
あたしはそう言って、無理に微笑んだ。
「学校、行けるか?」
叶チャンはあたしの頭をポンポンって撫でた。
「うん、みんな心配するだろうし……一旦家帰るね」
あたしはそう言って、鞄を掴んでベッドを下りた。
「いつでも、家来てイイから」
鞄を掴んだ手に、添えられた手。
「そんな事言われたら、毎日来ちゃうよぉ」
いつかの台詞を思い出し、あたしはニヤけて言ってみた。
でもきっと、あの時と同じような表情は出来ていなかったよね。
「毎日来いよ」
叶チャンはそう言って、優しく微笑んだ。
違うよ。
あの時の台詞は、そんなじゃなかったよ。
「ありがと……」
あたしはそれだけ言うのが精一杯で、急いで叶チャンの家から出た。
胸が、締め付けられた……
お風呂に入って、急いで支度をした。
こんな日でも、キッチンのテーブルの上にはサンドイッチが置かれていた。
何で……
何でいつもサンドイッチなのよ。
何でこんな時にまで作ってんのよ。
もう、意味分かんない……