Distance‐マイナス5cm‐
仲直り
学校に着いて、まず一番にやりたい事があった。
誠にお礼を言う事。
いつもふざけた奴で、絶対悩みなんてないような能天気なアイツに、昨日は本当に助けられた。
叶チャンに迷惑かけるなってメールはやっぱり気になるけど……
今はありがとうの気持ちが溢れていた。
廊下側の一番後ろの席で、誠は椅子に座って片脚を椅子に立てながら男子と談笑中。
今日は珍しく遅刻してないみたいね。
誠が遅刻しない事は、本当に珍しかった。
廊下側の一番後ろの席は、誠の特等席。
毎日遅刻してくる誠は、授業中に教室に入ってきても邪魔にならないように、席替えがあっても誠の席だけは変わらない。
何をそんなに楽しい事話してるのか、大声で笑う誠の声は、教室中で一番響いていた。
てか朝からテンション高いわね。
そのテンションを分けて欲しいわ。
と半ば呆れつつ
「おはよう。誠ってば行儀悪いよー」
その中に挨拶をしながら入っていく。
「おはようのん。てか今日俺遅刻しなかった!褒めて褒めて♪」
あたしに気付き、遅刻しなかった事がそんなに嬉しいのか、満面の笑みでこちらを向く。
――ドキッ