Distance‐マイナス5cm‐

あたしの考えを読み取ったのか、はたまた、あたしがあからさまに表情に出しちゃったのか、誠ママは笑った。


「想像出来ない?でもそうだったのよ」


遊んでばかりいたって事は聞いていたけど、そんな事までは知らなかった。


「あ、でもあたしは何もしてないですよ」


「のぞみチャンは何かしたつもりがなくても、誠にとっては凄く大きな事だったのよ。
高校に入学した頃から少しずつ笑うようになっていって……のぞみチャンを紹介された時に、あぁこの娘のお蔭なんだなって分かったわ」



誠は人懐っこくて、破天荒な性格で……


初めからそうなんだと思ってたけど、それは違ったの?


あたしは叶チャンしか見ていなかったから、あの頃の誠はあんまり覚えていない。

でも、いつも笑顔で、楽しそうだったような気がする。


だけどそれは、あたし達がよく話すようになってからの誠だったのかも……



「あの子は、お願い事や我が儘も一切言わない子で……手の掛からない子だなって、私も安心してたの。でも違ったのよ」



誠は――



誠は、いつもあたしを笑顔にしてくれて……
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